Search here...
TOP
レポート

剣道の魅力はどう伝えればいい?3,160人の調査結果から考える普及のヒント

全日本剣道連盟「剣道未来プロジェクト」が実施した、「剣道の取り組み実態と剣道に対する認識調査」。

小・中・高校生たちが剣道の何に魅力を感じどんな環境の中で活動をしているのかを明らかにすることで、剣道の発展・普及活動への基礎資料になることを目的に作られました。

全部で46ページあり、こういった資料が大好きな人間からすると「なんて凄いんだろう!」と読んでてドキドキしますが、どこからどう読み解いて、自分ごととして捉えたらいいのか、迷ってしまう部分もあるかもしれません。

本記事では、資料の一部を抜粋し読み解いていきたいと思います。

まず最初に見たいのは、最後のスライド

いきなり後ろのページに飛んでしまうのですが、43ページ目の「調査結果のポイントと今後の検討課題」から読み進めると、本資料はとてもわかりやすいです。

「調査結果のポイント」の冒頭に、「家族に剣道経験者がいる者」が全体の3分の2を占めている、と書かれています。

これは、剣道に「身内に勧められる」「家族で楽しめる」という魅力がある一方で、剣道に触れたことのない全くの未経験者にはまだまだリーチの余地があることを示しています。

そのために「勧誘強化」「剣道の魅力発信」が課題として挙げられています。2024年に雑誌『剣道時代』で実施した「剣道未経験者の保護者へのアンケート」では、「剣道を習うことになったきっかけ」に「体験会」「体験」「チラシ」などが挙がり、実際に体験してもらう手法が効果を発揮しているということが明らかになりました。また、「鬼滅の刃」など アニメや漫画の影響も無視できない要因として挙がりました。

こういった点を鑑みると、地域での体験会や勧誘、チラシの配布など、地道な活動は確実に効果につながるものではないかと感じられます。

また、メディアや大学関係者などさまざまな人が関わる大型イベントも効果的です。たとえば映画『てっぺんの剣』の上映場所であるAEONで開催された「剣道まつり」は、自然に剣道を体験できる、素晴らしいイベントでした。イベントを主宰した小森先生は「AEONで剣道!やってきた!」など、noteでイベントの気づきや記録を残していて、このようにデータが残る点も有益です。

小中高校生が感じる剣道の魅力とは?

では、具体的にどのような視点で剣道の魅力を発信していけばいいのでしょう。

本調査で明らかになった「未経験者に伝えたい剣道の魅力」は以下の項目です。

  • 技の取得と⼀本の取得
  • 試合で勝つ喜び
  • 仲間意識・友⼈増加
  • 剣道の⽂化性(武道,礼儀作法,鍛錬など)
実際に今、剣道に取り組んでいる子どもたちが「未経験者に伝えたい」と感じている剣道の魅力

資料を見ていて面白いなと思ったのが、小学生、中学生、高校生、それぞれの年代で剣道の魅力の捉え方が異なる点です。
小学生は痛くて泣いてる子をよく見かける気がします。

学年が上がるほど、剣道の意義・効果を強く実感する傾向がある、というのも面白いデータだと思いました。

また、「小学生は漫画・アニメ、高校生はインターネットから剣道の情報を入手する割合がやや高い」とありますが、まだインターネットを自由に扱えない小学生は、やはり体験会や漫画・アニメなどで剣道に触れるのだなと思います。中学生、高校生以上はオンラインでの施策も「剣道への出会い」として有効なのではないでしょうか。

剣道を続けようと思わない2つの要因

剣道を続けようと思わない要因として、以下の二つが調査によって明らかになりました。

  • プル要因(勉強・仕事への集中,他競技等への移⾏)
  • プッシュ要因(剣道⾃体が抱える問題点)

プル(pull)は英語で引っ張られるという意味、プッシュ(push)は押し出されるという意味。プル要因は、外部の魅力的な理由(新しく習い事をしたい、勉強したいなど)に引っ張られ、剣道から離れてしまうこと。プッシュ要因は、剣道自体が抱える問題によって、押し出されるように剣道から離れてしまうことです。

プル要因の対策として剣道の魅力発信強化、プッシュ要因の対策として指導方法や稽古環境の改善が挙げられています。全日本剣道連盟が熱中症対策に力を入れているのも、こういった「環境」の整備の一つかと思いました。また、今後は指導者に対するアンケートも予定しているらしく、どのような指導が求められていて、どのように改善すればマイナス要因の除去につながるのかも検討されていくのではないかと思います。

先日ふとタイムラインに流れてきた「どんな先生が教えているの?」という動画に「厳しくはあるけれど、子どもたちのことを思ってしっかりと大事なことを伝えていきますよ」というメッセージが込められていて、とても素敵でした。私たち大人にできることは、武道が持つ魅力の一つである「厳しさ」と、「社会通念」とのバランスについて考え続けることではないでしょうか。

性別・地域によって意識が異なる!

本調査は、令和7年7月から令和8年3月にかけて全国から3,160人の小・中・高校生が回答をしているのですが、まずこの有効回答数の規模、そしてサンプルの属性のバラけ方…完璧です…!!!!冒頭から感動する内容なのですが、中でもしびれたのが性別・地域別に意識が異なることを明らかにしている点…!!!!

取り組み実態と認識の男⼥差の部分は、

男子が⾃⼰鍛錬 → 向上への意欲 → 発信への積極性

になるのに対し、

⼥⼦は、あこがれ → 実態への不満 → 発信への消極性

になっている点が興味深いです。

大都市圏は「自ら選択」するのに対して、地方圏では「他者の勧め」で剣道を始める結果からは、地域によって対策を変えるべき、という視点を示唆しています。

本資料を、具体的にどう繋げればいいのか?

以上の内容から、たとえば指導者・保護者の方々は、剣道の魅力をどう発信するか、という視点において本資料が役立つのではないかと思います。特に未経験者へのリーチが鍵になってくるかと思いますが、それぞれの年代で何が「剣道を始めよう」となるのかを考える上でも参考になるのではないでしょうか。

SNS・メディア向けの活動においては、小学生へのリーチは難しいかもしれませんが、中学生・高校生に魅力を伝えるにあたり、剣道未来プロジェクトのハッシュタグ企画への参加もおすすめです。大型アカウントにリポストされることで、リーチが伸びるはず。

最後は、たとえばどこか大きな組織に企画提案をする場合の根拠やエビデンスとしての活用です。3,160人の小・中・高校生が回答をしているのでデータとしてはかなり堅牢で、説得力が爆増するはず!

****

最後のスライドから逆算してデータを読み解くことで、色々なことが分かりますし、データに刺激されてアイデアが出てきます。誰かと一緒に読んで意見を交換するのも面白いと思います。読み解き方の一つの参考として、本記事が参考になれば幸いです。

«

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です